1. 下請負人一覧表(編成表)とは?
下請負人一覧表は、工事に携わるすべての下請け業者(一次、二次、三次…)の構造を一覧にしたものです。全建統一様式第1号の甲などに該当します。
建設業法では、丸投げ(一括下請負)の禁止や、不法就労の防止、社会保険未加入業者の排除などが厳しく定められています。元請け(ゼネコン)は、自社の現場に「どこの誰が」入っているのかを正確に把握する義務があり、そのためにこの一覧表が非常に重要な役割を果たします。
2. 作成・提出のタイミング
基本的には、工事着工前(現場乗り込み前)に元請けに提出します。その後、新たな二次下請けを追加する場合など、編成に変更が生じた場合は、その都度速やかに修正版(変更届)を提出する必要があります。
提出の責任は、直接の下請けである「一次下請け」にあります。一次下請けは、自社が使う二次以下の下請けの情報をすべて収集し、とりまとめて元請けに報告しなければなりません。
3. 各項目の具体的な記入例とポイント
全建統一様式をベースに、間違いやすいポイントを解説します。
- ① 会社名・代表者名: 法人か個人事業主(一人親方)かを正確に記載します。法人の場合は代表取締役名などを記入します。
- ② 建設業の許可証: 「許可番号」および「許可年月日」を記載します。軽微な工事(500万円未満等)で許可が不要な業者の場合は「不要」または空欄とし、その旨を備考等に記載します。
- ③ 健康保険等の加入状況: 健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入状況(加入・未加入・適用除外)を記載します。近年、ここが最も厳しくチェックされます。「未加入」の業者は原則として現場への入場が認められません(一人親方による適用除外等は除く)。
- ④ 主任技術者・安全衛生責任者: 各業者が現場に配置する責任者の氏名を記載します。
- ⑤ 工期: その業者が現場に入る予定の工期を記載します。
4. 一次下請けが注意すべき「偽装請負」
下請け業者の情報を集める際によくあるトラブルが「偽装請負」です。例えば、「A社の作業員として名簿を出しているが、実はA社が日当で呼んだ個人事業主(一人親方)だった」というケースです。
これは労働基準法や建設業法違反となるリスクが高く、労災発生時に大きなトラブルになります。一次下請けの管理者は、「実際に誰と請負契約を結んでいるのか」を正確に把握し、Bさん(一人親方)を使っているなら、堂々と二次下請けとして一覧表に記載し、Bさんの特別加入証明書等を提出させるのが正しい処理です。
5. グリーンサイト(電子化)の活用
手書きやExcelでの下請負人一覧表作成は、階層が深くなる(三次、四次…)ほど収集と転記の作業が地獄のようになります。現在は多くのゼネコンが「グリーンサイト」等の安全書類作成クラウドサービスを導入しています。これを利用すれば、各業者が自社情報をシステムに入力して「承認」ボタンを押すだけで、自動的に正確な編成表が生成されます。