1. なぜ工事写真が重要なのか?
建設工事において、コンクリートを流し込んだ後の配筋や、壁のボードを張った後の断熱材など、「後から見えなくなる部分(不可視部分)」が必ず存在します。
これらが設計図面通りに正しく施工されていることを発注者(施主や役所)に証明する唯一の手段が「工事写真」です。写真の撮り忘れは致命的であり、最悪の場合「壁を壊してやり直し」という事態に発展します。そのため、適切なタイミングで適切な構図の写真を残すことが施工管理の最重要業務の一つとなります。
2. 失敗しない!工事写真撮影の3原則
① 着工前・施工中・完了後の「定点撮影」
工事の進捗を証明するため、同じ場所、同じアングルから「着工前」「施工中」「完了後」の3段階で撮影するのが基本です。三脚を使ったり、目印となる背景を覚えておくなどして、比較しやすい構図を心がけましょう。
② 黒板(ホワイトボード)の内容を正確に
ただの風景写真ではなく「工事の証拠」とするため、必ず工事黒板を一緒に写し込みます。黒板には最低限以下の項目を記載します。
- 工事名: 正式な契約工事名
- 工種・測点: 「土工事」「1階A工区 床配筋」など
- 設計寸法と実測寸法: メジャー(巻尺)を当てて撮影する場合、黒板にも「設計 1000mm / 実測 1005mm」などと明記します。
③ メジャー(スタッフ)の当て方
寸法を証明する写真は、メジャーの目盛りが写真上でハッキリ読める必要があります。被写体に対して垂直・平行にメジャーを当て、ピンと張った状態で撮影します。一人で撮影するのが難しい場合は、作業員さんに協力してもらいましょう。
3. 電子小黒板の普及と効率化
かつては木製の黒板とチョークを持って現場を歩き回り、雨の日は文字が消えて苦労したものです。しかし現在は、スマートフォンやタブレットを使った「電子小黒板アプリ(蔵衛門、Photoructionなど)」が主流です。
電子小黒板の圧倒的なメリット
1. 黒板を持ち歩く必要がなく、片手で撮影可能(高所作業での安全性が格段に向上)
2. 事務所のPCで事前に黒板の文字(工種や寸法)を入力・準備しておける
3. 写真にタグ情報(工種など)が埋め込まれるため、後で写真台帳への整理が自動化される
国土交通省の直轄工事でも電子小黒板の使用が原則化されており、改ざん検知機能がついているため信頼性も担保されています。
4. 工事写真報告書(台帳)作成のコツ
撮影した写真は「工事写真帳」としてA4サイズのPDFや冊子にまとめます。以下のポイントを押さえると、発注者の検査がスムーズに進みます。
- 時系列ではなく「工種別」に並べる: 「土工→基礎工→鉄骨工」のように、工事の流れに沿ってインデックス(見出し)をつけます。
- 写真の横に説明(摘要)を添える: 「〇〇部分の配筋状況。ピッチ200mmを確認」など、写真だけでは伝わらない補足情報を記載します。
- ピンボケ・逆光の写真は使わない: 何が写っているか分からない写真は証拠になりません。現場で撮影直後に必ずプレビューを確認する癖をつけましょう。