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安全衛生計画書とは?作成手順と記入例を施工管理が解説

管理人K
この記事の監修:管理人K
施工管理歴15年 / 1級土木施工管理技士

1. 安全衛生計画書とは?(なぜ必要なのか)

建設現場における「安全衛生計画書」とは、その工事期間中、無事故・無災害で工事を完了させるために、どのような安全管理体制で、どのような危険防止対策を実施するのかを具体的に定めた現場の安全に関するルールブックです。

労働安全衛生法において、事業者は労働者の危険や健康障害を防止する措置を講じなければならないと定められており、この計画書はその具体的な実施計画となります。通常、工事着工前に元請けの現場所長(現場代理人)が中心となって作成し、発注者へ提出したり、現場事務所に掲示して下請け業者に周知徹底します。

「とりあえず去年の現場の計画書をコピペして提出する」というケースも散見されますが、現場ごとに立地条件(狭小地、通学路隣接など)や主要工事(深基礎、大規模足場など)が異なるため、本来は現場特有のリスクを洗い出して作成しなければ意味がありません。

2. 安全衛生計画書に盛り込むべき主要項目

会社指定のフォーマット(店社安全衛生計画書に基づくものなど)があるのが一般的ですが、基本的には以下の要素で構成されます。

  • ① 工事の概要: 工事名、工期、発注者、施工場所、主な工事内容。
  • ② 安全衛生方針と目標: 「死亡・重傷事故ゼロ」「交通労働災害ゼロ」などのスローガンと目標。
  • ③ 安全衛生管理体制: 統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、各下請けの安全衛生責任者の組織図(指揮命令系統)。
  • ④ 日常の安全管理活動: 朝礼、KYK(危険予知活動)、新規入場者教育、安全パトロール、店社安全パトロールの実施頻度と方法。
  • ⑤ 主要な危険源と労働災害防止対策: これが最も重要です。墜落・転落、重機災害、熱中症などに対する具体的な対策。
  • ⑥ 緊急時の連絡体制・対応手順: 事故発生時や火災、地震発生時の連絡網、最寄りの救急病院のマップと連絡先。

3. 最も重要な「労働災害防止対策」の具体的な書き方

計画書の中で一番審査され、また実際に現場で役立つのが「具体的な防止対策」の項目です。抽象的な言葉ではなく、数字や明確なルールで記載します。

【記入例】三大災害の防止対策

1. 墜落・転落災害の防止

  • 高さ2m以上の箇所での作業は原則として作業床(足場)を設け、手すり(高さ85cm以上)と中桟を設置する。
  • 作業床が設けられない場合は、フルハーネス型墜落制止用器具を必ず使用し、親綱を先行張りする。
  • 開口部には合板等で塞ぎ、「開口部注意・乗るな」の標示を確実に行う。

2. 建設機械・クレーン災害(挟まれ・激突)の防止

  • バックホウ等重機の作業半径内はカラーコーンで立入禁止区画を設け、原則立入禁止とする。
  • やむを得ず立ち入る場合は、必ず合図者を配置し、オペレーターとアイコンタクトを取った上で立ち入る。
  • 移動式クレーンは定格荷重を厳守し、アウトリガーは最大張り出し、鉄板等で敷き鉄板養生を行う。

3. 第三者・公衆災害の防止

  • 通学路に面するゲートでは、登下校時間帯(7:30-8:30 / 14:30-16:00)の搬出入車両の通行を禁止する。
  • 仮囲いは高さ3m以上の防音パネルを使用し、強風警報発令時は控え壁の点検を実施する。

4. 作成する際のポイントと注意点

① 現場特有の「重点目標」を設定する
夏場の工期が長いなら「熱中症の撲滅」、改修工事なら「有機溶剤中毒・酸欠の防止」など、その現場のリスクプロファイルに合わせた重点目標を1〜2つ設定すると、説得力のある計画書になります。

② 作って終わりにしない(周知と形骸化防止)
最も悪いのは、立派な計画書をファイルに綴じて棚にしまっておくことです。月1回の安全衛生協議会(災害防止協議会)や、毎日の朝礼の中で「今月の重点目標」として計画書の内容を切り出して下請けの職長に周知・指導することが、計画を「生きた」ものにする秘訣です。

③ 計画の定期的な見直し
工事が進み、基礎工事から内装工事へとフェーズが変われば、危険の性質も変わります。当初の計画書通りにいかないことや、新たなリスク(他の業者との混在作業など)が発生した場合は、適宜計画を見直し、追記・修正を行うPDCAサイクルを回すことが求められます。

5. まとめ

安全衛生計画書は、現場の安全を守るための設計図です。着工前の忙しい時期に作成するのは骨が折れますが、現場の危険を先読みして対策を言語化するこのプロセス自体が、施工管理者の安全意識を高める最高のトレーニングになります。テンプレートを活用しつつも、必ず「自分の現場のリアルな危険」を想像しながら作成してください。

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